ワインを初めて楽しむ人のワイン入門編
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ワインの産地やブドウの種類

ワインの原料であるブドウは生鮮果実であるため、新鮮なうちに仕込まなければなりません。
そのため必然的にブドウの産地がワインの産地となります。
 
ブドウ産地に好ましい年間平均気温は10~20℃で、地球上では北緯30~50度、南緯20~40度の地域がその条件を満たした地域となり、ワインの産地のほとんどがこのエリアにあります。
 
気温に加え、日照量や雨量などの条件も満たすブドウ栽培に適した土地ですので、各地域に最も適したブドウの品種や栽培法のもと良質なワインが生まれています。

フランス

ワインと言えばフランスを思い浮かべる人が多いほど有名なワインの産地。
ボルドー地方やブルゴーニュ地方など各地域によってワインのタイプが違い、その個性は各地域でハッキリしており種類も変化に富んでいます。

イタリア

イタリアは「エノトリア(ワインの大地)」と呼ばれるワイン大国であり、ワインの生産量・国民一人当たりのワイン消費量ともに世界一です。
食文化も多彩なイタリアではワインの種類も多く、いろいろな味わいが楽しめます。

ドイツ

冷涼地で緯度の高いのドイツでは白ワインがその80%以上を占めます。
フランスのワインと同様に瓶の形や色によって産地を特定できるといった特徴があります。

スペイン

ワイン生産量世界3位のスペインでは、樽熱とテンプラーニョ種で有名なリオハや新鋭の産地リベラ・デル・デユエロ、シェリーなどの銘酒があります。
最近ではバルセロナ郊外で造られるお手ごろ価格のスパークリングワインであるカバも人気です。

オーストラリア

天候と自然条件に恵まれたオーストラリアでは安定的にブドウの収穫ができるので、ブドウ収穫量は年々増加し品質面でも良質なブドウが多いです。
「ホイリゲ(新酒という意味)」で有名なフレッシュな白ワインや甘口の白、赤、ロゼワインが有名です。

アメリカ

アメリカでは主にカリフォルニア州でワインが生産されており、生産量の90%を占めています。
ブドウ栽培に適した気候風土のナパやソノマは高級ワインの産地として有名。

チリ

150年前からヨーロッパ系の高級品種を栽培しているチリは、ワイン造りの歴史が古く、マイポやラペル、カサブランカ、マウレ、クリコなどの産地が有名です。
近年では品質の進歩も著しいです。

アルゼンチン

アルゼンチンではチリ寄りの西側が主要産地となっており、なかでもメンドーサは生産量の70%を占める主要生産地です。
カベルネ・ソーヴィニョン、マルベック、ソーヴィニョン・ブランなどが多い。

南アフリカ

海岸部が中心ですが、内陸部でもワインが造られています。
主な産地は日照量が多く一日の寒暖差が激しいケープ州であり、酸味豊かなブドウから生まれる高級ケープワインが有名です。

日本

お酒全体で占める割合は多くないですが、日本でもワインの生産は行われています。
国産ワインの発祥の地である山梨をはじめ、山形、長野、北海道などで上質なワインが生産されています。

ワインのブドウの種類

ワインの原料はブドウですので、味わいや香りなどに大きく影響します。
なので多種多様なワインの中から好みのワインを見つける方法は、ワインに使われているブドウの品種による個性で選ぶことだともいえるでしょう。
 
世界で収穫されるブドウの8割はワインに使用されており、ブドウ品種は約1000種類、そのなかで主要品種は100種類程度あるといわれています。
しかし最初から100種類覚えるのは大変ですので、世界中で栽培されている国際品種と呼ばれる品種や、手に入りやすい産地の主要品種から覚えましょう。


赤ワイン用ブドウ品種

赤ワインに使用されるブドウ品種は黒ブドウと呼ばれ、黒みがかかった紫色の果皮を持ちます。
この果皮から抽出される色素が赤ワインの美しい色になります。
 
赤ワインの場合は、果汁だけではなく、ブドウ果実全体を発酵させるのが特徴。
タンニンを含んだ果皮や種子を一緒に発酵させることで、赤ワインの特徴である渋味が生まれるのです。
 
以下ではワイン選びに役立ちそうな黒ブドウ品種を9種類ご紹介しています。
ワイン初心者におすすめの「入門品種」を6種類、品種の特徴が顕著な「個性派品種」が3種類、どちらも飲み応えがある(重い・しっかりとした・濃い)ものから順番にご紹介しています。
 

カベルネ・ソーヴィニヨン

出典:カベルネ・ソーヴィニヨン

しっかりとした渋味と厚い果実実
「黒ブドウの王様」とも呼ばれ、赤ワイン用の代表的品種。
果皮の色が濃くタンニンを多く含み、重厚で長期熟成に耐えうるワインを生みます。
芳醇でスパイシーな香りとしっかりしたボディを持ち、酸味と渋味のバランスが素晴らしいのが特徴。
主な生産地:フランス/ボルドー、アメリカ/カリフォルニア州、オーストラリア、チリ、アルゼンチンなど

メルロ

出典:メルロ

果実味豊かでまろやかな味わい
「ビロードのような舌触り」とも表現される、滑らかさをもち、渋味も柔らかい。
カベルネ・ソーヴィニヨンと並んでボルドーを代表する品種であり、カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドは絶妙の調和でボルドーを代表する赤ワインとなります。
主な生産地:フランス/ボルドー、ニュージーランド、チリ、アメリカ/カリフォルニア州

ネッビオーロ

土、動物、スパイシーな香り
北イタリア、ピエモンテ産でイタリアを代表するワイン、バローロ、バルバレスコを生み出すブドウ品種。
若いうちは酸味が強く、飲み頃になると果実味が豊かになります。
熟成によって酸味と果実味のバランスがとれてくるのも特徴。
主な生産地:イタリア/ピエモンテ

カベルネ・フラン


出典:カベルネ・フラン

青ピーマン、ゆでた豆、スパイスの香り
カベルネ・ソーヴィニヨンの異種。
ボルドーにおいては、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロとブレンドされることが多いブドウ品種です。
酸味が中心でしなやかな渋味をもつスムーズなワインになります。
主な生産地:フランス/ボルドー、フランス/ロワール

テンプラニーリョ

フランボワーズ、クランベリーの香り
スペインを代表する赤ワイン用ブドウ品種。
リオハをはじめスペイン国内で広く栽培されています。
酸味と果実味とアルコールのバランスでスムーズな口当たりのワインを生み出します。
主な生産地:スペイン/リオハ

ピノ・ノワール

出典:ピノ・ノワール

イチゴやチェリー、フランボワーズの華やかな香り
ブルゴーニュ地方を代表する赤ワイン用ブドウ品種。
単一品種で造られ、繊細でスムーズな味わいのワインとなります。
熟成すると馬小屋の香りになるのも特徴で、比較的高価なワインが多いです。
主な生産地:フランス/ブルゴーニュ、アルザス、シャンパーニョ、ニュージーランド、ドイツ、オーストラリア

ジンファンデル

出典:ジンファンデル

カシスリキュール、ブルーベリージャム、梅ジソの香り
カリフォルニアを代表する個性派品種。
濃厚な果実味とインパクトのある味わいのパワフルな赤ワインを生み出します。
またロゼ仕立てのホワイトジンファンデルなど、さまざまなタイプのワインが造られます。
主な生産地:アメリカ/カリフォルニア州

シラー(シラーズ)

出典:シラー

土、カシス、プラムやブラックペッパーなどのスパイシーな香り
フランスのコート・デュ・ローヌ地方原産の赤ワイン用ブドウ品種。
渋味はしっかりとあるが、高いアルコールのボリューム感で控えめな印象となります。
またオーストラリアではシラーズとして有名で、より凝縮感のあるパワフルなタイプが多いです。
主な生産地:フランス/コート・デュ・ローヌ、オーストラリア

マルベック

出典:マルベック

フランス:クセの強い、たい肥の香り 新世界:ベリージャムの甘い香り
フランスと新世界で特徴が大きく異なる品種。
フランスでは別名「黒いワイン」と呼ばれ、シャープで濃厚な味わいになります。色調は黒色。
アルゼンチンなどの新世界ではフルーティで果実味豊かなワインになります。色調は濃い紫色。
主な生産地:フランス/ボルドー、フランス/南西地方、アルゼンチン


白ワイン用ブドウ品種

白ワインに使われる主なブドウ品種は、黄緑色やグリと呼ばれる灰色がかかったピンク色の果皮を持ち、白ブドウと呼ばれます。
産地により酸味の強さやニュアンス、果実味の厚みが変わりやすい傾向があるのが特徴です。
 
以下ではワイン選びに役立ちそうな白ブドウ品種を9種類ご紹介しています。
ワイン初心者におすすめの「入門品種」を4種類、品種の特徴が顕著な「個性派品種」が5種類、どちらも飲み応えがある(重い・しっかりとした・濃い)ものから順番にご紹介しています。
 

シャルドネ

ヨーグルト、ナッツ、ヴァニラ、スモークの香り
「白ブドウの女王」とも呼ばれ、世界中で栽培されている白ブドウの代表品種。
シャンパーニュの原料としても有名であり、気候の違いで様々な味わいを持つワインとなります。
主な原産地:フランス/ブルゴーニュ、アメリカ/カリフォルニア州、オーストラリア、チリ、南アフリカなど

ソーヴィニヨン・ブラン

出典:ソーヴィニヨン・ブラン

青草、レタス、柑橘系の皮、ハーブの香り
主にフランスのボルドー地区やロワール地方で栽培されている白ワイン用ブドウ品種。
青みを帯びた香りが特徴ですが、温暖な産地では、リンゴや洋ナシの甘酸っぱい香りに、さらに温暖になるとトロピカルフルーツの香りが出てきます。
熟成にともない色調は黄色に変化し、酸味と果実味が落ち着いてもったりとした味わいになります。
主な生産地:フランス/ロワール、フランス/ボルドー、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、アルゼンチン

リースリング

出典:リースリング

生ゴムから白い花へと変化する香りやリンゴ、レモンの香り
酸味と甘味、果実味のバランスが味わいの決め手となる品種。
ドイツやフランスのアルザスをはじめ、各国で辛口から極甘口タイプまで造られています。
極甘口の色調は黄色。極甘口以外は早飲みタイプが多い。
主な原産地:フランス/アルザス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド

ピノ・グリ

ミネラル、スパイスの香り
灰色がかったピンク色の果皮を持つグリ品種。
フランスのアルザスでは豊かなボディのワインとなり、イタリアでは軽やかな味わいとなります。
主な原産地:フランス/アルザス、イタリア

ヴィオニエ

キンモクセイの華やかな香り
フランスのコートデュ・ローヌ地方北部原産のブドウ品種。
「クリスピーな」と表現される、乾いたニュアンスのほのかな酸味をもつのも特徴です。
熟成にともない色調はゴールドになり、粘性が強くなります。
主な原産地:フランス/コート・デュ・ローヌ、フランス/ラングドック

セミヨン

出典:セミヨン

メロン、イチジクの香り
ボルドーのソーテルヌやグラーヴの主要品種で、貴腐ワインの原料ブドウとしても有名。
酸味と果実味は控えめ。辛口の場合、単体で造れることは珍しく、ソーヴィニヨン・ブランとのブレンドが一般的です。
主な原産地:フランス/ボルドー、オーストラリア

シュナン・ブラン

黄桃、スパイス、フローラルの香り
辛口から甘口まで幅広いワインを生み出します。
洗練された香りとフレッシュな酸味を持ち、辛口でも蜂蜜のような甘い花の香りとフルーツフレーバーにより、余韻に甘味を感じる味わいとなります。
主な原産地:フランス/ロワール

ゲヴュルツトラミネール

出典:ゲヴュルツトラミネール

ライチ、パイナップルなどの甘いフルーツの香り
ライチや花、スパイスなどの入り混じった香りはとても個性的で、すぐにゲヴュルツトラミネールのワインだと判別できるほどです。
極甘口のデザートワインを除き、早飲みタイプが多いです。
主な生産地:フランス/アルザス、ドイツ

ルーサンヌ/マルサンヌ

ハーブティー、スパイスの香り
コート・デュ・ローヌの主要品種。
この二つはブレンドされることが多く、複雑な味わいのワインとなります。
しっかりとした酸味を持ち色調は黄色ですが、熟成にともない色調が濃くなりねっとりとした個性的な味わいになります。
主な生産地:フランス/コート・デュ・ローヌ