ワインの香りを表現する言葉、方法
ワインの香りは味わい同様、実にバラエティ豊かです。
ワインを楽しむ瞬間で最も楽しい瞬間が、ワインの香りを嗅ぐ時と言っても過言ではないくらい、「香り」はワインにとって重要な要素です。
香りが教えてくれるものは、いわばワインのプロフィールです。
そのワインがどんなブドウから造られ、どんな醸造や熟成過程を経てきたのか、イメージを膨らませてみるのも楽しいですよ。
ワインの香りの分類
さて、ワインの香りは原料のブドウに由来するアロマと、熟成中に生まれるブーケに分類されるのが一般的です。
アロマ
ブドウ自体から出る香りなどに由来するもの(第1アロマ)や、発酵段階で生まれる香り(第2アロマ)。
アロマからはブドウの品種や産地の寒暖などがわかります。
例えばブドウの品種は、インクの香り→カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴 など。
産地の寒暖は、寒い産地:酸味を感じるフルーツ、フレッシュフルーツ 暖かい産地:甘味の強いフルーツ、トロピカルフルーツ、コンポート、ジャム など。
ブーケ
木樽内、瓶内での熟成中に生まれる香り。
木樽の熟成は出荷前に行われる比較的短期間のもの。
ワインの熟成にともなう香りは、長いものだと数十年かけて生まれるものもあります。
ブーケからは木樽熟成の有無やワインの熟成度がわかります。
木樽熟成の有無は、ヴァニラ、木の香り、ロースト香→木樽を使っている など。
ワインの熟成度は、若い:青草、フレッシュフルーツなど 熟成:腐葉土、動物臭 など。
ワインの香りを表現する言葉
例えばヨード香と聞いてもピンとこなくても、醤油や海苔の香りと言われれば香りをイメージしやすいですよね?
ワインの香りを表現する際は一般的によく使われる表現に加え、身近なものの香りも含めてイメージを膨らませてみましょう。
果実の香り
- 赤ベリー(イチゴ、フランボワーズ、チェリー)
- 黒ベリー(カシス、ブルーベリー)
- イチジク
- アプリコット
- プラム
- リンゴ
- 洋ナシ
- 白桃
- 柑橘系(レモン、グレープフルーツ、ライム、オレンジの皮)
- トロピカルフルーツ系(パイナップル、メロン、ライチ、パッションフルーツ、バナナ、キャンディ)
- レーズン
- 乾燥イチジク
- プルーン
- イチゴジャム
- コンポート
花の香り
- バラ
- 野バラ
- スミレ
- キンモクセイ
- 白い花
- 黄色い花
- 蜂蜜
植物、ハーブ、森の香り
- 草のような(青草)
- レタス
- ピーマン
- 茎
- ハーブ(ミント、タイム、ベイリーフなど)
- 干し草(黄色の草)
- 枯葉
- タバコ
- 紅茶
- トリュフ(キノコ)
- 苔むした
- 腐葉土
- ゆで小豆
- 大地(土)
- ほこりっぽい
- ヴァニラ
スパイス
- コショウ
- シナモン
- クローブ
- ナツメグ
- ローズマリー
- コリアンダー
- 甘草
化学物質、その他
- アルコール
- ヨード香(醤油、海苔、海苔の佃煮)
- インク(墨汁)
- 石灰
- 生ゴム
- ワックス
- ヨーグルト
- べっこう飴
- タクアン
動物
- ムスク
- ジビエ(野生の鳥獣)
- ジビエの煮込み料理
- 燻製肉
- 焼いた肉
- なめし革
- 馬小屋
- 濡れた犬
- 猫のおしっこ
ナッツ、ロースト香
- 焼いたアーモンド
- ヘーゼルナッツ
- カカオ
- チョコレート
- コーヒー
- グリエ(ロースト臭)
- タバコの煙
- 燻香
- カラメル
- 焼いたパン
- イースト
まだワインに詳しくない方にとっては、腐葉土や猫のおしっこなどの表現は正しいのかと思われるかもしれませんが、これらもれっきとしたワインの表現方法ですので安心してください。
ワインの香りを表現する方法
1.グラスに注いだまま香りを楽しむ
まずは簡単に色を見て、グラスに鼻を近づけてワインの香りを楽しみましょう。
香りがよく分からない場合(ワイン用語で「閉じている」と言う)は、一回ゆっくりとグラスを回すと香りが分かりやすく(ワイン用語で「開く」と言う)なりますよ。
この時注意したいのが、グラスを何回も回すこと。
ワインを飲む時グラスを何回も回すのをイメージしがちですが、回しすぎるとワインが空気に触れ、ヴィンテージワインなどの繊細なワインは香りが壊れてしまいます。
2.味わい、香りを表現する
香りを楽しんだら、ワインを一口含んで味わい、香りを表現してみましょう。
表現の仕方は「フルーツのような香り」「花のような香り」など、上記のワインの香りを表現する言葉を用いて表現しましょう。
「苦い香り」や「古い香り」といったネガティブな表現は「チョコレートのようなビターな香り」「ちょっと古い香り」などポジティブな表現にするのがポイント。
3.余韻を感じる
ワインを飲んだ後は、鼻に抜ける香りの余韻も楽しみましょう。
余韻は長ければ、良いワインだと言われております。